負かされる日が来るのは、楽しみだ。

いきなり角をとられた。

なんか、新しい手を覚えてきたようだ。
やばい、負ける。

しかし、ここで私が負けて、
彼の向上心を満足させてしまうわけにはいかない。




小学校3年生の息子が久しぶりに将棋しようと、
言ってきた。

前は、わたしが飛車と角をなしにして、
ハンデをつけてやっていた。
いつだったか、それだと私が必ず負けるくらいまで
上達した。

それで、ハンデなしの対等の勝負。
まだ息子は一度も私に勝ったことはないが、
先を読むことを覚え、
相手をひっかけることを覚え、
油断ができない相手になってきている。


昔、わたしが、今の息子くらいの年齢のころ、
将棋をやりかけた。

ある程度、将棋を分かっている人との勝負では、
必ず負ける。

どうやったら、勝てるようになれるのかが、
分からず興味を失った。

将棋はよく分からないまま、三十年たって、
息子がやりたいと言ってくるので、
相手をするようになった。

私の将棋は初心者レベル。

息子にとっては、強いんだろうけど、
勝てる見込みがまったくないわけではない
と感じられるレベル。

息子がいろいろ技を仕入れてきて、
仕掛けてくるので、
自分もなるほどそうするのかと、
学ぶことができる。

しかしまだ、相手の注意の行き届かない部分に
すぐに気がつき、そこを突くことができる。
それで、あまり技を知っているわけではないが、
いまのところ、勝負では勝てる。

まだ、甘い部分が目に付く。

この調子だと、それほど遠くない将来、
わたしが負ける日が来る。

その日が来るのは、楽しみだ。

でも、その楽しみはもう少しあとにとっておきたい。


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