震災が起こった日、お兄ちゃん二人は学校に、
当時幼稚園に通っていた律くんはうちにいた。
地震が起こり、津波に襲われ律くんとうちにいた家族は亡くなった。
後日、うちに戻ったら、彼が大事にしていた青い鯉のぼりがでてきた。
これを泳がせて、俺達は元気でやっているってことを伝えよう。
ということではじまった青い鯉のぼりプロジェクト。
もともと泳がせていた鯉のぼりに加えて、
さらに追加の鯉のぼりをロープにかけるお手伝い。
青い鯉のぼりプロジェクト発起人、亡くなった律くんのお兄さんの開会の言葉。
「全国からお越しくださってありがとうございます。
ここで何を感じてくださってもいいと思います。
いろんな想いがあっていいと思います。
でも、それが希望だったとしたら僕はうれしいです。」
この彼の言葉を聞いて、悲しいわけじゃなく、でも涙がでてきてしまった。
ここにはかつて街があった。
でも今はずーっと遠くまで更地が続いている。
何もないように見えるけど、ところどころ破壊された生活の跡が見える。
壊れた弁当箱、皿の破片、家の土台のコンクリート、ねじまがった鉄筋。
そして、ここで泳いでいる600匹を超える青い鯉のぼりと集まってきた大勢の人々。
起こってしまったこと、
それはここに住む人全員に大きな傷を残し、
それはまだ癒えたわけではない。
でも前に進むために、未来に進むために、行動している人たちがいる。
今回、復興支援という名目で助ける立場で東松島市に行ったわけだが、
このひどい影響をプラスに変えて
未来に向けて進んでいこうとしている人たちの存在を知り、
逆に自分が元気と勇気をもらって助けられたような気がする。
小5の息子が帰りの車中で話してくれたこと。
「どこもきれいでちゃんとしてるように見える。
でも、津波のあとはまだ残っていて、
まだ大変なのは変わらないのがわかった。
なにか役に立てることをこれからもしていきたい。」